既卒・フリーターのための業界解説

既卒のための物流業界解説Vol.2|陸運、海運、空運の違いって何?

UZUZ Writer

既卒のための物流業界解説Vol.2|陸運、海運、空運の違いって何?

前回の記事「既卒のための物流業界解説Vol.1|知ってるようで知らない「物流の仕組み」を徹底解説」において、物流会社は「保管」、「流通加工」、「情報管理」など様々な業務を行っていると述べてきました。

ただし、物流コストの6割は「輸送」が占めており、やはりその主役の座はゆるぎないと言えます。実際に物流会社を分類分けする際には、多くの場合、その企業が得意とする「輸送モード」によって分類します。(分類分けは以下参照)
【物流会社の分類分け】

  • A. 陸運    [ヤマト運輸、日本郵便、日本通運、日立物流]
  • B. 海運    [日本郵船、商船三井、川崎汽船]
  • C. 空運    [全日本空輸 、日本航空、スカイマーク] 

[注意:] 陸運業に分類されているからといって、海運業、空運業を全く行っていない訳ではありません。前述のようにほとんどの物流会社はPLを収益基盤としているので、上記のどの企業も業務提携等を通じてすべての分野をカバーしていると考えて下さい(というよりは3PLの定義上カバーせざるを得ないと言えます)。

A. 陸運

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トラックや貨物列車などの「陸上の貨車を用いる輸送」のことを指します。手紙やネット通販等の宅配便から、産業品(原料、生産装置、精密機器)、展示品・美術品など、扱う品の幅が広いことが特徴です。

主要企業としては宅配業に強い「ヤマト運輸」「佐川急便」「日本郵便」や、3PLを主な事業基盤とする「日立物流」「日本通運」などが挙げられますね。

陸運業界 ~今後のポイント~

現在の陸運業を語る上で欠かせないのが、ネット通販大手「Amazon」とその周辺企業による目まぐるしい関係性の変化です。

Amazonは2000年に日本に進出して以来、その配送業務の多くを日本通運に委託していました。しかし2009年にヤマト運輸と佐川急便の二社に完全に切り替わり、さらに今年になって佐川が事実上の決別を表明しました。現在は「ヤマト運輸がAmazonとの取引を独占している状態」です。

売上ベースで毎年右肩上がりの成長をみせているAmazonとの業務提携はだれしもが望むもののように思えます。では佐川急便はなぜ取引をやめたのでしょうか?

実はAmazonは「物流プロセスのほぼ全てを自社で手掛けており」、他社に委託しているのは「消費者物流」の部分、すなわち「最後の配達」だけなのです。(配送拠点~消費者までの数キロ)この「最後の配達」の部分のコストが思いのほか高いのです。

佐川は、ヤマトほど「消費者物流に特化したインフラ」を有していないため、Amazonが掲げている「当日配送」の負担に耐えられなくなったのです。ではAmazonの宅配便を丸取りしているヤマトは安泰なのでしょうか?必ずしもそうとは言えません。

ヤマトはほぼ全てのドライバーを正社員として雇用しています。従って、このまま佐川が請け負っていた部分を引き受け続ければ負担がドンドン蓄積されることにより「かえって経営状況が悪化する恐れ」があります。

またAmazonは、日々増強されている自社物流センターを使って「中小メーカー向けの物流サービス」を提供しはじめています。このまま順調にサービスが拡大すれば、本来なら取引相手であるはずのヤマトや佐川などのライバルに急成長する可能性も出てきます。

このように陸運業界は再編の時期を迎えていますが、今後のポイントは、いかにしてヤマト、日通、佐川などの物流会社がネット通販会社との良好な関係性を構築するかに尽きるのではないでしょうか。

陸運業の主なお仕事

  • 物流センター管理
  • 物流企画
  • トラック運転士
  • 鉄道運転士

B. 海運

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世界の貿易の97%(容量ベース)は海運が担っていると言われています。周囲を海に囲まれた日本にとっても、非常に重要な存在であると言えますね。

海運は、輸送に時間がかかるものの大量の貨物を輸送できるため、陸運や空運とくらべて「コストが低い」という特徴があります。そのため、石油や鉄鉱石などの資源の大量輸入、ないしは自動車や重電機などの重量物の輸出に用いられています。

海運業の主要企業としては「日本郵船」「商船三井」「川崎汽船」が挙げられ、この3社だけで業界売上のなんと9割弱」が占められています。業界は上記の大手3社体制に集約されていますが、それぞれに個性的な経営方針がありますので覚えておいてください。

日本郵船

業界最大手で三菱グループの源流企業。現在は「総合物流企業」を目指しています。2006年から陸運大手のヤマトホールディングスと資本・業務提携を組むなど、陸運・空運なども一気通貫して手がけていることが特徴です。「運びのオールラウンダー」を目指しているとも言えますね。

商船三井

業界2番手。三井物産の船舶部門が分社化して設立された歴史を持ちます。日本郵船が陸・海・空と幅広く事業展開している一方で商船三井は海運業に力を集中している「海運を追求する企業」です。鉄鋼、自動車、石油・ガス資源にめっぽう強く、中でも「液化天然ガス(LNG)船の分野では世界最高峰の実績」を有しています。

川崎汽船

業界3番手。川崎造船所(現:川崎重工業)の船舶部から独立する形で設立されました。海運業だけでなく、深海油田の発掘や洋上でLNGを生産する事業などにも資源を投入しています。「輸送と資源開発の二刀流」を掲げており、「海洋事業のエキスパート」を目指しているとも言えます。

海運業界 ~今後のポイント~

リーマンショック以降、世界規模で船の需要が減ったため各企業は「船余り」の状態に陥りました。

しかし昨今の円安、ならびにシェールガス革命による北米での液化天然ガスの増産を受け、船の需要も元に戻り業界の風向きもよくなってきていると言えます。丸紅がデンマークの大手からLNG船を8隻購入するなど、シェールガス革命は総合商社のような業界外の企業からも注目を集めています。

今後のポイントは業界外を含んだ各企業(海運大手、総合商社)のシェールガス案件をめぐる競争にあると言えるでしょう。

海運業のお仕事

  • 船乗り員
  • 船繰り(計画づくり)
  • 通関士

C. 空運

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空運とは、「航空機を使った輸送」のことを指します。

大量輸送や重量品輸送には向かないものの、小型で軽量な高付加価値商品(電子製品)や緊急性の高い品物を輸送する手段として有効です。物品を「短時間で運べるメリット」があるものの、景気が悪くなると運賃の安い海運へ切り替えられる場合があります。そういった意味で非常に景気に左右されやすい業界であると言えます。

空運業界は大きくわけてANAやJALなどの「航空会社」、日通、近鉄エクスプレスなどの「フォワーダー」、FedExやUPSなどの「インテグレーター」に大別されます。ひとつずつ見ていきましょう。

航空会社

自社の航空機を使って空港から空港への貨物輸送を行っている会社を指します。「日本貨物航空(日本郵船の小会社)」のように航空貨物に特化している企業もあれば「ANA」「JAL」などの旅客輸送と並行して行っている企業もあります。

フォワーダー

航空会社とのやりとりを通じて荷主から輸送業務を受託する会社・業者のことを指します。航空会社から貨物スペースを仕入れて空輸を委託し、輸出入時の通関手続きや国内輸送を代行するサービスを行っています。国内では「日本通運」「郵船ロジスティクス」「近鉄エクスプレス」などが有名です。

インテグレーター

「総合物流企業」と呼ばれる空陸一貫輸送が可能な会社のことを指します。「自社航空機を有するフォワーダー」とも言えるでしょう。

4大インテグレーターである「FedEx(米)」「UPS(米)」「DHL(独)」「TNT(蘭)」は国際的な物流網をもっており、「日本の企業にとっては大きな脅威」です。国内では全日空グループの「OCS」が該当します。

もともとフォワーダーや航空会社は大口貨物、インテグレーターは小口貨物の輸送を中心に行ってきました。しかし、リーマンショックや新興国物流需要が高まっていることなどを背景に業界再編の流れが国際的に強まってきており、近年ではその棲み分けがなくなりつつあると言えます。

空運業界 ~今後のポイント~

航空会社、フォワーダー、インテグレーター問わず各企業にとって今後の成長のカギは、産業の発展が著しい中国などの新興国市場の強化と言われています。この強化の一環としてFedExは2011年9月に、上海で中国最大規模の新営業所を設立しました。一方、国内フォワーダーも海外企業の取り組みに負けないように、アジアを中心とした物流網の拡大を図っています。

今後の最大のポイントは、いかにして国内フォワーダーならびに航空会社が海運・陸運業者との提携を強め、海外大手との競争に打ち勝っていくかに集約されているのではないでしょうか。

空運業のお仕事

  • パイロット
  • カーゴ(貨物)
  • 整備士(メカニック)

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