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【業界解説Vol.01】化学メーカーとは?ビジネスモデルや仕事フロー、今後の動向は?

化学メーカー

 
化学メーカーで働いて、新製品を生み出したい!

 
生涯を通してエンジニア・研究者として生きていきたい!

という声をよく聞きます。

資源に乏しいと言われる日本をこれまで支えてきたのは、世界最高峰と言われている「化学技術」です。

理系学生の減少が嘆かれている現在の日本において、このような声が聞けるのはうれしいかぎりですね~!!

というわけで今回の記事では、「化学産業に携わりたい!」といった方々のために、

  • 化学業界のしくみ
  • 各メーカーの動向
  • 職種

について説明します。

また後半部分では、

  • 化学メーカーに受かるための最低条件?
  • どういった能力を持っていると選考で有利になるか?

についても、書いていきたいと思います。

それではさっそく、化学メーカーのお仕事と近年の動向について見てまいりましょう!!

この記事の監修者

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO

株式会社UZUZ 代表取締役

1986年生まれ、北海道出身。第二の就活を運営する「株式会社UZUZ」を立ち上げ、数多くの就職サポートを実施してきた。“自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる。”をミッションに、Twitterで「仕事をウズウズ楽しむ情報」を、YouTubeで「就職・転職で使える面接ノウハウ」を発信。SNSの累計フォロワー数は9万人を超える。

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化学業界の仕組み

化学業界の仕組み

化学とは文字通り「化ける科学」です。

化学メーカーは、ある原材料を仕入れ、それに対して合成・分解・重合反応といった「化学変化」あるいは「分離・精製操作」などを行うことで価値の高い製品を作り出し、それを顧客に販売することで利益を上げています。

業界自体は、石油、ガス、繊維、紙・パルプ、電子材料などの種々の分野に細分化できますが、基本的には上述のフローに従って活動していると考えてください。

化学業界のビジネスモデル

化学業界のビジネスモデルは、製品製造の流れに合わせて川にたとえられ、川上・川中・川下と説明されることがよくあります。

川上

川上といわれる企業は、石油・石炭・天然ガスといった原材料を用いて化学反応を利用したナフサやエチレンといった基礎科学製品を製造しています。

また、原油や天然ガスを精製し、利用できる状態にするのも川上企業の役目です。

川上企業の多くは、総合化学メーカーとして川中・川下までの製品製造を一貫して行っています

川中

川中にある企業は、基礎原料をもとにして合成繊維、合成ゴム、油脂、合成種子といった最終製品の素材を製造しています。

川中の企業は世の中には知られていないことが多く、世界的なシェアを持っているのに業界以外の認知度が低いことも珍しくありません。

川下

川下の企業は、中間素材をもとにして一般消費者向けの最終製品を製造しています。

石けん、合成洗剤、界面活性剤、塗料、医薬品、化粧品といった日用品や電子部品といった商品です。

化学メーカーの仕事フロー

思ってた以上に、結構いろいろな業態があるんだなぁ〜。
実際の仕事フローについても知りたいな!
そうですね。これだけではイメージが湧きづらいでしょう。
皆さまにとっても身近だと思われる、旭化成の「サランラップ」の製造プロセスを例にとって、化学メーカーの仕事フローについて簡単に説明します。

旭化成は上記の分類では「川上」に位置する企業ですので、石油などの原料をもとにして、一般消費者向けの商品まで一貫して製造しています。

「サランラップ」は、「ポリ塩化ビニリデン」と呼ばれる物質を主な構成成分としており、これを薄膜状(フイルム)に加工したものを指します。

では「ポリ塩化ビニリデン」はどのようにして造られるのでしょうか?

下記に簡単な製造フローを示します(カッコ内は操作名)。

ポリ塩化ビニリデンの製造フロー
  1. ナフサ (粗製ガソリン)
  2. (精製)
  3. エチレン
  4. (塩素化反応)
  5. 塩化ビニリデン
  6. (重合反応)
  7. ポリ塩化ビニリデン

上記のように、大概の化学製品は3つ以上の化学的な操作を必要とします。

そしてそれぞれの化学的操作(プロセス)には、それぞれ数億から数十億円規模の特大装置と、莫大な量のノウハウを要します。

特大装置を、年中を通して安定的に最適条件のもとで稼働させることは、生半可ではありません。

化学メーカーのワーカーの方々は、頻繁に発生する工場トラブルに対応し、社会のニーズに応じた量の製品を製造することで、人々の生活を支えているのです。

化学メーカーの仕事フローについて理解できましたでしょうか?

次は、化学業界の細かい種類について説明していきます。

化学業界の動向と現状

化学業界の動向と現状

化学業界のことは、なんとなく分かったけど、現状とか今後はどうなっていくのかが知りたいなあ……
化学業界は比較的安定成長が見込めますが、様々な要因に影響を受けることが多い業界でもあります。

直近の動向をみてみましょう。

財務省の法人企業統計によると、2010年から2018年はやや増加傾向でしたが、2018年から2020年の3年間では減少、2021年は11.3%の増加に転じています。

売上高営業利益率は、中長期的に見ると増加傾向にあります

2021年はナフサやエチレンといった石油化学基礎製品が好調に推移しました。

世界的に供給不足が問題となっていた半導体が回復してきているため、半導体向けや自動車向けの業績が好調でした。

2022年を見ると、半導体業界向けの材料は伸びていますが、自動車用はやや需要が鈍化してきています。また、原材料の高騰にも注意が必要です。

監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO

原材料となる原油や天然ガスの価格変動が懸念材料

化学品の原材料となる原油や天然ガスの価格が大きく変動しています。

原油先物市場は、2022年直近の高値を記録し、その後は減少に転じました。

天然ガスの価格は高止まりしたまま不安定な値動きを見せています。

世界的なインフレは続いていることから、今後の原材料の値動きは気になるところです

また、原材料の調達を輸入に頼っている日本では、為替の変動も企業の業績に大きく影響します。近年の円安傾向はコストアップの要因となっています。

参考:経済産業省「鉱工業指数(生産・出荷・在庫・生産能力・稼働率)、製造工業生産予測指数

化学メーカーの種類とそれぞれの動向

化学メーカーの種類とそれぞれの動向

さまざまな化学メーカー
  • 石油、ガス                [JX日鉱日石エネルギー、出光興産]
  • 高分子(フイルム、繊維、電子材料など) [富士フイルム、東レ、帝人、宇部興産]
  • 無機材料(ガラス、セメント)      [旭硝子、三菱マテリアル]
  • 生活用品(洗剤、化粧品など)      [花王、ユニ・チャーム、P&Gジャパン]

上記のリストでは、それぞれの分野に対応する主要企業を挙げました。「基本的にどの化学メーカーも複数の分野をカバーしている」と考えていただいてかまいません。

(三菱化学や三井化学などの財閥系化学メーカーは、ほぼ全分野をカバーしています)

とは言っても各々の企業にそれぞれ得意分野があるので、化学分野の中でも

  • 繊維事業に携わりたい!
  • 生活用品を開発したい!

など特定の希望がある方は、上記リストを参考にしてください。

それでは前置きはこれまでにしておいて、それぞれの業界の動向について見ていきましょう!

1. 石油、ガス業界は「脱石油資源」のための研究を進行中

石油ガス化学メーカーは原油を精製・改質し、石油製品として販売するメーカーです。

主要企業としては、

  • JXホールディングス
  • 出光興産
  • 昭和シェル

などが挙げられます。

ガソリンをはじめとする石油製品の「国内需要」は、少子高齢化や地球温暖化対策により「減少傾向」です。

そのため、今後は業界として苦しい状況に置かれるだろうといわれています。

また、石油メーカーの得意分野でもある石油製品「エチレン」は、シェールガス革命によって低コスト化が進んでいます。

従って、各石油関連製品が「減産」に追いやられるなど、業界として不安材料が尽きない状態なのです。

このような状況を打開すべく、石油メーカーのリーディングカンパニーであるJXホールディングスは、早急に打開策を打ち出しました。

JXは「脱ナフサ依存」の対策として、石油製品以外を対象とした高付加価値材料の研究開発(水素エネルギーなど)に注力。

この成果次第で、今後の巻き返しが大きく期待できるといえます。

また投資額の規模は若干小さくなりますが、出光興産や昭和シェルなども「脱石油資源」をモットーに、研究開発に尽力している段階です。

まさに業界として過渡期にあるといえるでしょう。

この業界の動向は、国家レベルのエネルギー事情に多大な影響を与えるため、一般社会との関わりも非常に大きいです。

日頃から日経新聞を読むなどして、ぜひともフォローしておいてください。

2. 大手の高分子メーカーは多方面に事業を展開

 
高分子ってなんだ?

と思われるかもしれませんが、これは簡単にいうと「プラスチック、フイルム、繊維」などの元となる物質のことを指します。

皆さまの身の回りにある買い物袋、PETボトル、写真用フイルム、衣服などは、高分子を特定の形に加工したものです。

(余談ですが、PETボトルとポリエステル繊維は、化学的には全く同じ物質です)

高分子メーカーは、高分子の元となる原料を調達し、製造(合成・加工)および販売することで収益を上げています。

主要企業としては、富士フイルム、日東電工、東レ、帝人、宇部興産などが挙げられますね。

日本の産業は高度経済成長時から「高分子化学」を得意分野としていました。

上記のような背景から、富士フイルムや東レなどの老舗名門メーカーは、21世紀以前は各々のコアビジネスで安定収益を上げていました。

(富士フイルム→写真用フイルム、東レ→アクリル・ポリエステル繊維などの汎用繊維)

一方、近年ではデジタルカメラの台頭や、原料の高騰などが引き金となりフイルム・汎用繊維の国内需要は、大幅に縮小しました。

ただし、富士フイルムや東レなどの企業は、これまでに培ってきた化学の知見を有効に使い「早くから事業の多角化」に取り組むように。これによって収益基盤のシフトが良好に進行し、現在でも好調経営を維持しています

(富士フイルム→化粧品、医薬品;東レ→炭素繊維などの高機能性繊維)

今後は機能の優位性を活かした安全・安心や医療・衛生といった付加価値を求められる分野で、新たなビジネスモデルを確立できるかが課題となってくるでしょう。

(水処理ビジネス、CO2を原料とした材料開発、など)

3. 無機材料は海外進出へシフトチェンジ

無機材料とは、簡単に説明するとガラスセメントなどの、「金属でもなく高分子でもない材料」のことを指します。

無機材料メーカーの主要企業としては日本板硝子旭硝子セントラル硝子太平洋セメント宇部三菱セメントなどが挙げられます。

ガラス業界は自動車用・建築用需要が低調のため、全体的に業績が伸び悩んでいる状況です。

業績回復を回復させるためには「グローバル化」が必須でしょう。

この問題に対して、旭硝子は早々に手を打っており、2011年のブラジル進出を皮切りにシンガポールなどのアジア諸国への海外進出を推進している段階です。

また、日本板硝子やセントラル硝子なども非日系の新規ユーザー開拓に拍車をかけており、今後も海外生産を拡大させていく方針をとっている模様です。

一方セメント業界は、被災地復興や減災工事などにより、国内需要は今後数年ピークが続くことが期待されています。

また、現・燃料として産業廃棄物を活用するなど環境ビジネスを収益柱に育てており、多方面で収益を上げられるようになりました。

今後も安定的な成長が期待できる業界であるといえます。

4. 生活用品は海外販路の拡大をメインに動いている

皆様が日々使用されている洗剤シャンプーなども化学の範疇に入ります。

上記のような生活用品を製造・販売しているメーカーを生活用品メーカーといい、代表例としては花王ユニ・チャームP&Gジャパンなどが挙げられます。

これまで紹介してきた会社よりも、皆さまにとってなじみ深いのではないでしょうか?

それもそのはず、一般的にB to C企業の方が「広告費にかける額が大きい」こと、また実際に「店頭で製品を目にすることが多い」ことから、一般消費者に対しての知名度が高いのです。

さて、業界の最近の動向ですが、国内消費の低迷、原材料高やリーマンショックの影響などにより、全体的に業績が低迷しています。

このような状況を打開すべく、各生活用品メーカーは「海外販路の拡大」を狙っています。

業界首位の「花王」は中国などの新興国開拓に意欲的で、そこを足がかりにアジアでの販売網拡大を図っています。

また、「ユニ・チャーム」はインドネシアなどのアジア諸国を中心に、中東、ロシアなどへ展開中です。

業界の性格上、新商品開発よりも、販売網の開拓に費用をあてたほうが売上の向上につながります。

そのことから、研究・開発職に携わりたいという方よりは、マーケティング」や「サプライチェーンマネジメント」に携わりたい方に向いている業界です。

(余談ですが、P&Gはアジアにおける研究拠点をシンガポールに移しているため、研究職に内定すれば一年目からシンガポール勤務です)

化学業界の問題

化学業界の問題

ひとことで化学メーカーといっても、いろんな分野があって、それぞれに課題があるんだね!
じゃあ、化学業界全体で共通した問題ってどんなことがあるの?
過化学業界は世の中の情勢に大きく影響を受けるため。それぞれの時代に応じた問題に対応してきた業界でもあります。
現在、化学業界が抱えている問題について、簡単に紹介します。

原材料の高騰

化学業界の大きな問題の一つが原材料の価格の高騰です。

石油や天然ガスを原料とした製品が多いことから原油価格の高騰の影響を受けやすくなっています。

原料調達を輸入に頼る日本では、仕入れコストの上昇が業績を圧迫しているのです。

対応するため、各化学メーカーでは石油を原料とする製品の割合を下げ、利益が見込めない製品から撤退するといった対策をとっています。

海外進出とM&A

国内市場の減少も化学業界が抱える問題です。

新たな市場を見つけるのが困難な状況から、M&Aによって新しい技術の獲得や成長市場への進出を狙う企業が増えています。

国内企業のみならず、海外企業とのM&Aも増加傾向です。

これからの日本では人口減少が進み、人手不足や市場の縮小がさらに進むと思われます。

今後まだまだ成長が見込まれる東南アジアを中心にして海外進出する企業が続くのではないでしょうか。

環境問題

環境問題

高度成長期には、公害や環境汚染の問題が発生したことで、社会的に厳しい視線が向けられる時代がありました。

そのため経済産業省など行政当局からの指導を受け製造設備の見直しが進められたのです。

法律による規制を中心として環境問題への対策が行われてきましたが、次第に有害性や発生起源がわかりにくい環境問題が多くなってきました。

こうしたことから、各企業に環境汚染を防ぐ自主的な取り組みを求めるようになったのです。

近年では、世界的なプラスチック廃棄量削減の動きに合わせて、2021年6月「プラスチック資源循環促進法」を策定し環境配慮設計の指針に適合する製品を認定するようになりました。

化学メーカーは原料や製造方法の変更が必要になっています。

また、SDGsやESGなどの取り組みが社会的に広まっているため、今後はさらに環境対応を進めていくことになるでしょう。

監修者コメント

岡本啓毅HIROKI OKAMOTO

脱炭素社会への国際的な貢献

日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

排出する温室効果ガスの削減を進め、排出した分の回収にも取り組んでいます。

化学業界全体でもこうした動きに対応した生産体制づくりを進め効果が発揮されました。

日本企業は、公害対策などに早くから取り組んできたこともあって、国際的に高度な技術を保有しています。

海外にも技術を移植し、カーボンニュートラルの実現に向けて地球規模での取り組みを推進しているのです。
参考:経済産業省:「化学産業のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向

まとめ

化学業界は、規模も大きいし世の中に大きな影響を与える業界だってことがよく分かった!
就職先として考えると、チャレンジのし甲斐がある分野だね!

この記事で、化学業界の全体像が理解いただけたと思います。

化学業界は日本の基盤を支える中心的な産業の一つであり、地味な印象ではありますが、これまで日本経済を発展させてきた大きな業界です。

興味を持った方は、ぜひ化学業界の理解を深めていってください。

次回は化学メーカーの職種について

化学業界研究Vol.02では、「化学メーカーの職種」について、詳しく解説していきます!

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執筆・編集

第二の就活 編集部

「“はたらく”をもっと身近に」をテーマに、就活=不安・やりたくないと感じる気持ちを変えるコンテンツを発信しています。編集部のメンバーは、全員が既卒や第二新卒の経験者です。だからこそわかる「就活に対する怖さ・逃げたい気持ち」に寄り添い、正しい情報をイラストや動画を用いてわかりやすく伝えていきます。

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